撮影クルーの皆様、アマゾンまで本当に御苦労さまでした。
ブラジルアマゾンは日本から見ると、地球の真反対に位置していますから遠いわけです。
成田から直行便はなく、アメリカ経由でブラジルに入国します。
通常はアトランタ経由でブラジリア、国内線に乗り換えてベレンが最短のコースです。
ベレンからは陸路で約4時間でトメアス到着。 待ち時間も含めると36時間位の長旅です・・・
さすがに10年も通っていると慣れましたが、最初はへとへとになって着いたところに、灼熱の太陽と100%近い湿度が襲ってきて時差ボケを忘れさせます(笑)
そんな思いをしてでも見る価値があるのが「アグロフォレストリー」です。
1929年に神戸から入植した農業移民の努力の結晶であり、まさにアマゾンの秘宝です。
今日はちょっと長くなりますがアグロフォレストリーの解説をしてみようと思います。
私は2000年に偶然のように訪問して遭遇したのですが、最初は、自然林だと思いました。
次に、これが自分たちの農業だと聞いて、熱帯林の中に栽培した自然農法なのかなと。
最後に、いや違う、荒廃地から自分たちで作ったと聞いて耳を疑ったわけです。
事実は以下の通りでした。
彼らが入植当初手掛けたのは大規模伐採でした・・当時は誰もそれを問題視などしませんでした。
その後、胡椒の大プランテーションを展開し、一時は国際相場に影響させるほどの生産規模まで拡大させ、「胡椒御殿」と言うわれる豪邸が立つほどまで発展しました。
しかし、悲劇が突然彼らの生活を襲います。 根ぐされ病という病害が大発生し、あっという間に壊滅してしまったのです。
生活の糧を奪われ、自分たちの技術や経験が通用しなくなった彼らが答えを求めたのはジャングルでした。 どうして同じ土地なのに熱帯雨林は大木が多い茂り、密林を維持できるのか?
一体何が違うのか?? 答えは「多様性」でした。
プランテーションは単一栽培だったことが原因だと気づいたのです。
アマゾンの大地は決して肥沃ではなく、むしろ粘土質で浅い土壌です。
それでも多種多様な植物が共生し、維持できるのは、植物の落葉が土地に栄養を与え、強いバクテリアが分解を速めることで栄養素が循環していたのです。
伐採した時点でこのメカニズムが失われていたことを反省した彼らは、農業に多様性のメカニズムを取り入れました。多種多様な樹木系中心の農作物で栽培を試みたところ、同じ土地でも持続的な農業が出来るようになりました。
それから30余年、現在、70種類以上の農林作物が栽培され、かつては荒廃した土地が、みるみる再生され、一見してジャングルのような畑が7000ヘクタールも広がっています。
アグロフォレストリーによって再生される土地 |
「森を作る農業」と呼ばれるのはそのためです。
これがアグロフォレストリー誕生のプロセスでした。
全て換金作物で森が出来てしまうんですから素晴らしいですね。
農業は経済活動の一環ですから、経済活動が森を再生させているとも言えます。
これが私を突き動かしたポイントです。
経済の力で環境を治せるんじゃないか?
長くなったので今日はこの辺で。