素晴らしいDISCOVERYです。
アグロフォレストリーに出会った時に似た感覚です。
あの頃は、森林伐採が進むアマゾンを歩きながら、経済と環境の両立はないのか?
と悶々としていた時にアグロフォレストリーに出会って感動しました。
あれから15年を経て、日本でも何とかアグロフォレストリーが出来ないのか?
と思い始めて横浜の植木畑に伺いました。
と言うのも、植木畑は見た目がアグロフォレストリーに似ていると常々思っていました。
違いは食べ物を生産しないだけかと。
そんな折、オルタナの会議で知り合ったオーガニックのガーデニング会社『Q-GARDEN』を経営する小島さんが、「おもしろい植木屋さんの畑を知ってますよ!一緒に行きます?」と誘ってくれました。
それは横浜の井上友二さんの畑でした。
蜂の巣? いやいや一風変わったハチ箱ではありませんか。。
ということはここは農薬が少ないはず。
奥に進んでいくと、えっ!
植木に混じってみかんやブルーベリーが。
これはまぎれもなく樹木と果樹のアグロフォレストリーですよ!
事実この一帯は緑で満ち溢れて都会なのに実に空気が澄んでいました。
興奮して井上さんに聞いてみると、いやいや全部観賞用だよ、と。
ではこのたくさんの果実はどうするんですか?
鳥が食べるか土に帰るだけだよ、と満面の笑顔で答えてくれました。
昨年収穫して冷凍されたブルーベリーを少し頂きましたがなんと美味しかった事か!
これは私にとって今年最大の発見でした。
そうか、ハチのお陰だ。
井上さんは激減するニホンミツバチを助けようと飼い始めたそうです。
世界各国でも同様の問題が騒がれていますが、激減の原因にはネオニコチノイド系の農薬が関係しているとされています。
ミツバチが減ると何が起こるのかというと、実をつける野菜や果物の交配に影響します。
つまり実が成らなくなってしまうんですね。
世界の食糧の90%を占める約100種類の作物のうち、ミツバチによる花粉の媒介が71種類にも及ぶとか!?
農業生産のなかでこれだけ重要な役割を担っているのに、農薬で殺されてしまうなんて矛盾しています。
FAOは、このまま減少が続くと、世界的な食糧危機を招くと警告しています。
日本の農水省も、そんな農薬を認可してしまわなければ激減は免れたのに・・・
アマゾンでもハチが減っていて、アサイーの結実に影響が出ていると生産者から話を聞いたこともあります。
さて、ニホンミツバチは採蜜用に家畜化された西洋ミツバチと違い、一匹から一生のうちに採れる蜂蜜はたったのスプーン一杯だそうです。またプロポリスを作らない性質のため、蜜の中に特殊な酵母が含まれていて蜜自体に殺菌効果があるという優れものでした。
1−2年に一度しか採れないという貴重な蜂蜜を頂きました。
このパッケージに「はちからはじまるものがたり」と書かれています。
私はこれを見た瞬間、井上さんのメッセージを感じました。
日本ミツバチを守る為に自然を壊してはならない。
ハチと人間が共存できないような環境では食べ物も危なくなる。
多様性が失われた社会には笑顔は残らない。
彼は自分の畑を開放し、シニアの方々に果実や野菜の収穫を手伝ってもらう事で
生き生きとした老後のサポートもしているそうです。
私は日本版アグロフォレストリーの原型をここに見い出した気がします。
ありがとう、井上さん、小島さん。
ハチから始まるのは日本版アグロフォレストリーかも知れません。